常緑キリンソウ袋方式をマンガで紹介
1.常緑キリンソウとは
環境保全および地球温暖化を抑止する目的で、日本のセダム研究家として著名な㈱フジタ(パラダイスパーク)の藤田道明氏によって新品種が開発されました。キリンソウは日本在来の植物で、日本各地の山地や海岸の乾いた岩の上などに自生する植物です。キリンソウは、これまでセダム緑化に失敗した箇所の補修用としても利用されてきました。このように優れた点が多くある植物ですが、冬季間は落葉していました。この唯一の大きな弱点を克服し、進化したのがベンケイソウ科キリンソウ属「常緑キリンソウ」です。屋上緑化には、様々な効果が有ります。「常緑キリンソウ」は、屋上緑化・壁面緑化・法面緑化など、環境改善に貢献できる植物で様々な場所で活躍しています。
様々な場面で活躍する常緑キリンソウ
(1)常緑キリンソウの特徴
常緑キリンソウ(常緑麒麟草)は、多年草ですが茎が樹木のように木質化します。暑さ・寒さ・乾燥などに強く、ローメンテナンスな植物で下記のような特徴があります。
乾燥に対する耐性が非常に強く、1ヶ月無灌水でも大丈夫です。日本では、約3か月雨が降らなくても生存可能です。このように乾燥に非常に強いので、水は自然の雨水のみで大丈夫です。常緑キリンソウは11月末~12月ぐらいの時期に、古い葉が枯れ、新芽と入れ替わります。その為、特に剪定の必要はありません。屋上緑化で使用される芝生には、自動潅水装置による散水が必要です。芝生は1年を通して様々な手入れが必要となりメンテナンスが大変です。雑草・病害虫は、日頃の手入が重要となります。芝生の生長がないときは雑草除去。 芝生の生長が旺盛な時期は、肥料やり→水やり→伸びた葉を刈込みのサイクルが必要となります。セダム緑化を維持させるには、開花後に花枝を切り取ったり、除草の必要があります。セダム緑化やコケ緑化であっても適切な手入れが不可欠です。
常緑キリンソウは灌水設備が必要なく保水機能が高いため、水害の防止に貢献できます。現在の都市構造では、貯水可能な土壌部分が少なく、コンクリートなどの部分が多いので貯水効果がないため、短時間の豪雨で水害の起きる「都市型水害」を招きやすくなっています。土壌は一時的に雨水を保水して徐々に流していく効果もあるのです。屋上緑化では、デッドスペースとなりがちな屋上部分を「土壌」として活用し、ヒートアイランド防止効果に加え一時的な雨水保水効果を利用し都市型洪水を防ぐ効果をもたらします。2018年7月豪雨の例など日本でも起こっています。特に、短時間強雨と大雨の発生頻度が増加傾向にある最近では、都市部に雨水が急激に流入することもあり、従来は水害がなかった地域でも都市型水害が発生しています。
古来、キリンソウは飢饉に備え、保存食として利用されていました。また、薬用効果があり虫刺され、切り傷等にも効くとされていました。江戸時代には救荒植物として、飢饉に備えて、キリンソウ(麒麟草)の全草を茹でて日干しにして乾燥させて保存食にしたと言われています。「山菜には、春の若葉、若芽を採取して塩ゆでして水にひたして、胡麻和え、生姜醤油、辛子マヨネーズで食べることが出来る。また、虫刺され、浅い切り傷には、生の葉を良く洗い磨り潰した汁を患部に塗る塗り薬として使う。」としています。2018年の安田女子大学の研究において、「常緑キリンソウの栄養成分と抗酸化活性」の論文が発表されました。「常緑キリンソウの栄養成分の分析は、水分、たんぱく質、脂質、炭水化物、灰分、カルシウム、リン、鉄、β-カロテン、α-トコ常緑キリンソウの栄養成分は、葉物野菜(キャベツ、青ジソ、ホウレン草、春菊など)と比較して大きな差は認められなかった。キャベツ、青ジソと比較すると、-トコフェロール含量、総ポリフェノール含量が高く、DPPHラジカル捕捉活性を示し、強い抗酸化活性を有することが明らかとなった。」とする内容です。
2.常緑キリンソウ袋方式とは
常緑キリンソウは、既存工法での使用や失敗した箇所の補修用としても利用してきました。しかしながら、どうしても表面に土が出ているので、雑草の侵入や土壌の流出をくい止める事はできませんでした。そこで、現場発のソリューションとして開発されたのが、常緑キリンソウ袋方式・FTMバッグシステムです。FTMは3名の頭文字に由来します。ファスナー付の袋「常緑キリンソウ袋方式」(特許・商標・品種登録)はトリプル知財の屋上緑化システムです。
(1)常緑キリンソウ袋方式の特徴
常緑キリンソウ袋方式(特許・商標・品種登録)のトリプル知財が効果を発揮
①雑草の侵入を防ぐ
②土壌の流出を防ぐ
③ファスナー式で設置が簡単
袋方式の標準サイズは50cm角で、湿潤重量が1枚13kgとなります。袋には15cm×100cmの長方形タイプもあります。またハトメ付き、サイズのオーダーも可能です。袋の素材は防草シートで出来ており雑草の侵入と土の飛散・流出をくい止めます。袋には常緑キリンソウを通し土に水分を与えると同時に、土の乾燥を防ぎます。現場には、土が入った袋と常緑キリンソウの苗が届きますので、袋のファスナーを開いて苗を入れファスナーを閉じます。植物が入った袋を並べるだけで緑化が完成する、簡単な失敗しない屋上緑化システム(緑化システム)です。
これまで屋上緑化は専門の業者にしか出来ないシステムが多数でした。常緑キリンソウ袋方式は、非常に簡単ですので、子供にも緑化が可能となりました。環境教育を含めた緑化や自社ビルの社員による屋上緑化など活用の場が広がっています。
常緑キリンソウ袋方式は、下記写真のような雑草問題、土壌流出問題を解決します。
(2)屋上緑化システム(在来工法)と常緑キリンソウ袋方式の比較
下記3項目で在来工法と常緑キリンソウ袋方式で比較してみましょう。
①雑草侵入の比較 ②土壌流出の比較 ③風洞実験比較(風への抵抗性)
①雑草侵入の比較
在来工法は、表面に土が出ていますので雑草が侵入します。常緑キリンソウ袋方式は防草シートの袋で出来ていますので雑草が侵入しません。在来工法で、丈夫な常緑キリンソウを使用しても雑草の侵入は防げません。
雑草侵入比較実験
②土壌流出の比較
在来工法は、表面に土が出ていますので豪雨・強風で土壌の流出のおそれがあります。
常緑キリンソウ袋方式は袋の中に土が入っています。豪雨・強風による土壌の流出から守られています。雨にも負けず、風にも負けず、雪にも夏の暑さにも負けぬ丈夫な体(常緑キリンソウ+袋)で立派に育ちます。
土壌流出比較実験動画
土壌飛散比較実験動画
③風洞実験比較(風への抵抗性)
風洞実験の概要
袋方式2個と袋方式を入れたトレー2個の計4個での風洞実験動画です。風の出口の正面の風速を0m/sから徐々に上げていきます。自然界は、風が弱くなったり強くなったりしますが、実験では常に一定の風が吹きますので、自然環境よりかなり厳しい条件です。トレー式は、一気に飛んでしまいます。板状で硬い素材の物は、風の影響を受けやすく、 少しでも浮上ると一気に飛んでしまいます。台風や突風で瓦や看板が飛ばされるのも同じ理屈です。実験は強風による土壌の飛散は考慮していません。土壌飛散がある場合には、トレーの重量が軽くなりますので、より飛びやすくなります。一方、袋方式は、柔らかく変形が可能です。また、風をわずかに通しますので、浮力が発生しにくく飛びにくい構造となっています。災害時にブルーシートが飛ばないように土のうを利用しますが、理にかなった構造となっています。緑化工事作業中においては、袋方式が材料の飛散防止の役目をはたしています。
屋上緑化システム(在来工法)と常緑キリンソウ袋方式の比較結果はどうでしょう?
昨今の異常気象による高温、大雨、強風などで「在来型の薄層型」の緑化において様々な問題が発生しています。常緑キリンソウ袋方式は、雑草対策、土壌流出対策、風への抵抗性が高くて安心ですね。これからの屋上緑化には最適なシステムです。
3.風の強さとは
日本国内において単に「風速」という場合、地上気象観測では、地上10メートルの高さにおける10分間の平均風速を表し、0.25秒ごとに更新される3秒(12サンプル)平均を瞬間風速といいます。風速の単位は、m/sです。国際的にはノット (kt) が用いられます。気象庁によれば、台風は風速17.0 m/s以上をいいます。
例えば、最大瞬間風速30m/sと平均30m/sは同じ値ですが、平均30m/sのほうが一時的な風の強さが大きく、影響も大きくなります。TVの放送で「最大瞬間風速が30m/s」という場合は瞬間の数字です。平均風速は15m/sや20m/sといったもっと少ない数字です。経験的に、最大瞬間風速は平均風速の1.5倍~2倍は吹くといわれています。
強風体験風速30m
風速30mは時速で言うと時速108km/hです。気象用語では「猛烈な強い」と分類される風です。「猛烈」は最上級の強さを表す言葉です。風速30m/sとなると、風速で古くなった屋根が飛ばされたり、トラックが横転するような風です。
カタログ請求・ご質問等ございましたらお気軽にお問い合わせください。
4.豆地知識 ちょっと一息つきませんか?
キリン草のキリンって何のキリン? 動物? ビール?
キリンというとアフリカのサバンナで見られる首の長い動物を想像し、セイタカアワダチソウと勘違いされる方もいらっしゃいます。関西地方の一部では、キリンソウ=セイタカアワダチソウと呼んでいる地域もあり、混乱のもとになる事があります。キリンソウ、アキノキリンソウ、セイタカアワダチソウ、ブタクサは、黄色い花をつけますが、それぞれ全く種類の異なる植物で性質も大きく異なります。
麒麟草の名の由来は、中国の古書に出てくる、想像上の動物、麒麟(きりん)に由来します。麒麟(きりん、中国語でチーリン:qílín)は龍、鳳凰、亀と並ぶ古代中国の四瑞の一つに数えられる伝説上の動物です。実は雌雄があって雄は麒、雌は麟と性別で呼び分けられています(諸説あり)。いかつい顔をしていますが、非常に穏やかで慈悲深い性格をしており、虫の一匹も踏まないように歩き、枯れ草しか口にしないと言われています。鳥取県東部(因幡)と兵庫県北但西部(但馬)には、この麒麟に扮して舞う「麒麟獅子舞」という幻想的な伝統芸能が伝わっています。麒麟獅子舞は、人々に幸福をもたらす芸能として因幡・但馬の地域に愛されており、約150の村々に受け継がれ、春と秋に行われる神社での例祭を中心に、ほぼ1年を通じて舞われています。
キリンソウ(麒麟草)は、ベンケイソウ科キリンソウ属の多年草(在来種)です。シベリア東部・中国・朝鮮半島と日本の北海道・本州・四国・九州の山地の日当たりのよい岩場などに分布します。背丈は5〜30 cm程度で。5〜8月黄色い花を付けます。アキノキリンソウ(秋の麒麟草)は、「ベンケイソウ科のキリンソウ」の花の姿に似ているとして名付けたと言われています。本家本元のキリンソウです。 常緑キリンソウは、品種改良の結果非常に花が咲きにくい性質に変わっています。常緑キリンソウは、光の影響を受け夜間でも照明が点いているような場所では、花が咲きやすくなります。
アキノキリンソウ(秋の麒麟草)は、キク科アキノキリンソウ属の多年草です。海岸近くから亜高山帯までの、主に日当たりのよい草原に見られます。高さは70、80cm程度となり、8〜11月に総状の黄色い花を多数つけます。葉は互生し、茎の下部では先端がとがる楕円形、上部では披針形になっています。秋の麒麟草と ベンケイソウ科のキリンソウの花を見比べてみると似ていますね。
セイタカアワダチソウ(背高泡立草)は、キク科アキノキリンソウ属の多年草です。北アメリカ原産で、日本では切り花用の観賞植物として導入された帰化植物(外来種)です。開花時期は9〜11月頃です。河原や空き地などに群生し、高さは1〜2.5m、肥えた土地では3.5〜4.5m程度にもなります。セイタカアワダチソウは、根から他の植物の成長を阻害するために毒「cis-DME」という化学物質を放出します。これが他の植物の成長を阻害し、セイタカアワダチソウの勢力圏を拡大する一因となっています。しかし、大繁殖の後はやがてその土地の栄養分が枯渇して、自分の毒でやがて滅びる運命です。この作用をアレロパシー効果といいます。ブタクサとセイタカアワダチソウを見分けるのには「葉」を見るのが一番確実です。セイタカアワダチソウの葉の形は、笹の葉のようなスッとした細長い流線型で、全く切れ目がはいっていません。セイタカアワダチソウは花粉を虫に運んでもらう虫媒花のため花粉症はおこしません。また、葉には浄血作用があり、アトピー性皮膚炎に効果があることから、入浴剤やオイルなどに利用されています。
ブタクサ(豚草)は、キク科ブタクサ属の一年草です。南アメリカ、ヨーロッパ、アジア、オーストラリアの広い範囲に外来種として移入分布しています。日本では、明治初期に渡来した帰化植物として全国の道端や河原などに分布します。雌雄同株で高さは30〜120cmで開花時期は7〜9月頃です。ブタクサの葉は、ギザギザで、よもぎの葉のような形です。セイタカアワダチソウの葉の形は、笹の葉のようなスッとした細長い流線型です。ブタクサは風で花粉が飛ぶ風媒花で、花粉症の原因として知られています。日本ではスギ、ヒノキに次いで多い花粉症。特に早朝の風の強い時間帯は集中して飛散するため、散歩やジョギングは注意が必要です。鼻、目の症状のほか、喘息の原因にもなります。
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