常緑キリンソウ袋方式をマンガで紹介
※ 本動画は、屋上緑化の失敗要因と補修時の判断ポイントをストーリー形式で整理するための思考補助資料です。
本アニメーションは、台風や豪雨による土壌流出をきっかけに、屋上緑化の失敗要因や補修時の判断ポイントをストーリー形式で整理した参考資料です。特定の性能や耐久性、長期結果を保証・証明するものではなく、設計・補修判断を行う際の思考補助として位置づけています。
This animation is a reference material that presents, in a narrative format,typical failure factors in rooftop greening and key decision points for repair or remediation,triggered by scenarios such as soil runoff caused by typhoons or heavy rainfall.It is not intended to guarantee or certify specific performance, durability, or long-term outcomes,and is positioned solely as a conceptual aid to support design- and repair-stage decision-making.
本ページ以降では、「失敗しない屋上緑化」という表現を、以下の定義に基づいて使用します。
本サイトにおける「失敗しない屋上緑化システム」とは、
・植物の強さや個体差
・管理者の努力や頻繁なメンテナンス
・散水設備や長期保証制度
といった 特定要素への依存によって成立させるものを指すものではありません。
屋上緑化において失敗が生じやすい要因(乾燥・豪雨・強風・雑草侵入・管理低下など)を、すべての条件を網羅することを目的とするのではなく、構造的に整理し、リスクを一箇所に集中させず、設計段階で判断しやすい形に分解できているかどうかという観点を示すための表現です。
また、本方式は管理を不要にするものではありませんが、一般的な屋上緑化と比べて、乾燥・豪雨・雑草・管理停止といった要因によってメンテナンスが破綻しやすくなる状況を設計段階から構造的に抑えることを重視しています。
Definition of “Fail-Resistant” as Used on This Page
On this page, the term “fail-resistant rooftop greening system” does not refer to a system that is made viable through reliance on:
- the robustness, tolerance, or individual variability of specific plant species,
- intensive maintenance efforts or continuous human intervention, or
- irrigation equipment, monitoring systems, or long-term warranty schemes.
Instead, the term is used to describe a design-oriented approach in which failure-prone conditions commonly encountered in rooftop greening
(such as drought, heavy rainfall, strong winds, weed invasion, and maintenance decline)
are identified, separated, and structurally organized at the design stage.
This definition does not imply that all possible environmental or site-specific conditions are exhaustively addressed.
Rather, it is intended to clarify which failure mechanisms are examined, and how decision-making premises are structured,
so that risks are not concentrated in a single factor and design-stage misjudgments can be reduced.
This conceptual definition establishes the framework for the technical explanations presented on this page.
This system does not eliminate the need for maintenance.
However, compared with typical rooftop greening systems,
it is designed to structurally reduce situations in which maintenance tends to break down,
such as those caused by drought, heavy rainfall, weed proliferation, or interruptions in management.
This approach emphasizes design-stage assumptions and structural measures
rather than relying on plant resilience or promising specific maintenance frequencies.
This page presents a technical framework for organizing design assumptions in rooftop greening, explaining the Kirinsou bag-based method as a structural approach to addressing common failure factors without relying on performance guarantees, plant tolerance, or intensive maintenance.
1.常緑キリンソウとは
常緑キリンソウ袋方式は、屋上緑化において生じやすい乾燥・豪雨・排水不良・強風による飛散・雑草侵入・維持管理低下といった失敗要因を、植物の耐性や散水設備、継続的な人的管理に依存せず、袋構造と配置計画によって整理することを目的とした屋上緑化方式です。
本方式は、屋上という環境条件の変動が大きい場所において、設計段階で前提条件を明確化し、施工後に生じやすい判断の誤りや管理負担を構造的に減らすことを重視しています。
The Kirinsou bag-based rooftop greening method is an approach designed to address common failure factors in rooftop greening—such as drought, heavy rainfall, drainage issues, wind uplift, weed intrusion, and maintenance decline—through structural configuration and layout, rather than relying on plant tolerance, irrigation systems, or continuous human intervention.
This method emphasizes clarifying design assumptions at the planning stage in rooftop environments where conditions are highly variable, with the aim of structurally reducing the risk of misjudgment and excessive maintenance burdens after installation.

環境保全および地球温暖化を抑止する目的で、日本のセダム研究家として著名な㈱フジタ(パラダイスパーク)の藤田道明氏によって新品種が開発されました。キリンソウは日本在来の植物で、日本各地の山地や海岸の乾いた岩の上などに自生する植物です。キリンソウは、これまでセダム緑化に失敗した箇所の補修用としても利用されてきました。このように優れた点が多くある植物ですが、冬季間は落葉していました。この唯一の大きな弱点を克服し、進化したのがベンケイソウ科キリンソウ属「常緑キリンソウ」です。屋上緑化には、様々な効果が有ります。「常緑キリンソウ」は、屋上緑化・壁面緑化・法面緑化など、環境改善に貢献できる植物で様々な場所で活躍しています。本項で説明する「常緑キリンソウ」は、植物分類上の種名ではなく、特定の目的と前提条件のもとで選抜・改良された品種系統を指します。
生育特性による識別の考え方
タケシマキリンソウを含む自生系キリンソウの多くは、自然環境下において 4~6月に黄色の花を付ける 特性を持ちます。一方、常緑キリンソウは、一年を通した緑量の維持を目的として品種改良された結果、自然環境下では花が咲きにくい性質を示します。そのため、・冬期の緑量 ・夏期の開花の有無 を確認することで、常緑系統か、それ以外の系統かを簡易的に区別することができます。
様々な場面で活躍する常緑キリンソウ
【定義】常緑キリンソウ®とは
常緑キリンソウ®は、植物分類上の種名ではありません。
本サイトにおいて「常緑キリンソウ®」とは、一年を通した安定した緑量の維持を明確な目的として選抜・育成され、登録されたキリンソウ属(Phedimus属)の特定の系統を指します。
そのため、
「キリンソウ」(一般的な呼称)、
「タケシマキリンソウ」(植物分類上の種)、
または外観や季節的な特徴のみから「常緑」と説明されるキリンソウ類
とは、同義ではなく、相互に置き換えて使用することはできません。
English summary(Evergreen Kirinsou®)
Evergreen Kirinsou® is not a botanical species name.
On this site, the term refers to a specifically selected and registered cultivar within the genus Phedimus, developed with the explicit goal of maintaining stable green coverage throughout the year.
It is therefore not interchangeable with
“Kirinsou” (a general Japanese name),
“Takeshima-kirinsou” (a botanical species),
or Kirinsou plants described as “evergreen” based solely on appearance or seasonal traits.
【定義】常緑キリンソウ袋方式®とは
常緑キリンソウ袋方式®は、植物の選定と生育構造条件を一体として設計することを前提とした屋上緑化手法です。
本方式では、キリンソウ属(Phedimus属)の常緑系統である常緑キリンソウ®と、袋状基盤による生育システムを組み合わせることで、潅水設備に依存することなく、過酷な屋上環境下においても長期的に安定した植生状態を維持することを目的としています。
このシステムにおける植物の評価は、短期的な生長量や開花の有無によって行うものではありません。
明確に定義された設計条件および使用前提に基づき、季節や気候の変動を通じて一貫した緑被状態を維持できるかどうかを評価軸としています。
English summary(Evergreen Kirinsou Bag System®)
The Evergreen Kirinsou Bag System® is a rooftop greening method designed around the combined performance of plant selection and structural growing conditions.
It integrates the evergreen cultivar of Phedimus (Evergreen Kirinsou®) with a bag-based substrate system to achieve long-term vegetation stability under harsh rooftop environments, without relying on irrigation systems.
In this system, plant performance is not evaluated by short-term growth or flowering, but by the ability to maintain consistent green coverage across seasonal and climatic variations, based on clearly defined design and usage assumptions.
(1)常緑キリンソウの特徴

常緑キリンソウ(常緑麒麟草)は、多年草ですが茎が樹木のように木質化します。暑さ・寒さ・乾燥などに強く、ローメンテナンスな植物で下記のような特徴があります。



乾燥に対する耐性が非常に強く、1ヶ月無灌水でも大丈夫です。日本では、約3か月雨が降らなくても生存可能です。このように乾燥に非常に強いので、水は自然の雨水のみで大丈夫です。常緑キリンソウは11月末~12月ぐらいの時期に、古い葉が枯れ、新芽と入れ替わります。その為、特に剪定の必要はありません。屋上緑化で使用される芝生には、自動潅水装置による散水が必要です。芝生は1年を通して様々な手入れが必要となりメンテナンスが大変です。雑草・病害虫は、日頃の手入が重要となります。芝生の生長がないときは雑草除去。 芝生の生長が旺盛な時期は、肥料やり→水やり→伸びた葉を刈込みのサイクルが必要となります。セダム緑化を維持させるには、開花後に花枝を切り取ったり、除草の必要があります。セダム緑化やコケ緑化であっても適切な手入れが不可欠です。



常緑キリンソウは保水機能が高く散水設備を必要としません。常緑キリンソウの保水機能が、都市型洪水の緩和に貢献できます。現在の都市構造では、貯水可能な土壌部分が少なく、コンクリートなどの部分が多いため貯水効果が発揮することが困難です。このため短時間の豪雨で「都市型洪水」が引き起こされやすくなっています。土壌には一時的に雨水を保水し、徐々に流していく効果もあります。屋上緑化では、未活用の屋上部分を「土壌」として活用し、ヒートアイランド現象の緩和効果に加え、一時的な雨水保水効果を利用して都市型洪水の緩和を助けます。2018年7月豪雨のような事例の日本で発生しています。特に、短時間強雨と大雨の発生頻度が増加傾向にある最近では、都市部に雨水が急激に流入することもあり、従来は水害がなかった地域でも都市型水害が発生しています。



古来、キリンソウは飢饉に備え、保存食として利用されていました。また、薬用効果があり虫刺され、切り傷等にも効くとされていました。江戸時代には救荒植物として、飢饉に備えて、キリンソウ(麒麟草)の全草を茹でて日干しにして乾燥させて保存食にしたと言われています。「山菜には、春の若葉、若芽を採取して塩ゆでして水にひたして、胡麻和え、生姜醤油、辛子マヨネーズで食べることが出来る。また、虫刺され、浅い切り傷には、生の葉を良く洗い磨り潰した汁を患部に塗る塗り薬として使う。」としています。2018年の安田女子大学の研究において、「常緑キリンソウの栄養成分と抗酸化活性」の論文が発表されました。「常緑キリンソウの栄養成分の分析は、水分、たんぱく質、脂質、炭水化物、灰分、カルシウム、リン、鉄、β-カロテン、α-トコ常緑キリンソウの栄養成分は、葉物野菜(キャベツ、青ジソ、ホウレン草、春菊など)と比較して大きな差は認められなかった。キャベツ、青ジソと比較すると、-トコフェロール含量、総ポリフェノール含量が高く、DPPHラジカル捕捉活性を示し、強い抗酸化活性を有することが明らかとなった。」とする内容です。
常緑キリンソウは、植物分類上の一般名称ではありません。本サイトで使用する「常緑キリンソウ」は、一年を通した緑量の安定を目的として品種改良された特定の系統を指します。そのため、「キリンソウ(一般的な呼称)」「タケシマキリンソウ(植物分類上の種)」「常緑と説明されるキリンソウ類(性質表現)」とは、同義ではありません。
生育特性による簡易的な識別
タケシマキリンソウを含む自生系キリンソウの多くは、自然環境下において4~6月に黄色の花を付ける 特性を持ちます。一方、常緑キリンソウは、一年を通して緑量を維持することを目的に品種改良された結果、自然環境下では花が咲きにくい性質 を示します。
現地での確認の目安
以下の点を確認することで、常緑キリンソウか、それ以外の系統かを簡易的に区別することができます。
・冬期の緑量
冬でも緑が安定して維持されているか
・夏期の開花状況
花が多く咲いているか、ほとんど見られないか
本サイトでの整理方針
本サイトでは、・種(植物分類) ・系統(品種登録) ・性質(常緑性) ・結果(景観・緑量)
を明確に分けて整理しています。
このため、
「タケシマキリンソウ(常緑)」という種名と性質を併記した表現は本サイトでは採用していません。
※ 用語の違いについては、FAQ(よくある質問)でも整理しています。
※ 分類上の整理や、セダムとの混同が生じる理由については、⑩「セダムとの混同について(分類上の整理)」でも補足しています。
A1. 名前が似ているため混同されやすいですが、同じものではありません。本サイトで使用する「常緑キリンソウ」は、一年を通した緑量の安定を目的として品種改良された特定の系統を指します。
一方、「タケシマキリンソウ」は、植物分類上の種を指す名称です。
本サイトでは、
・種(植物分類) ・系統(品種登録) ・性質(常緑性) を明確に区別して整理しています。
A2. はい、常緑キリンソウは、一年を通した緑量の維持を目的として品種改良された系統のため、自然環境下では花が咲きにくい性質を示します。これは生育不良や異常ではなく、栄養成長(葉・茎の維持)を優先するよう改良された結果です。
一方、タケシマキリンソウを含む自生系キリンソウの多くは、4~6月に黄色の花を付ける性質を持ちます。
本サイトでは、
・冬期の緑量が安定しているか
・夏期に花が多く咲いていないか
といった点を、系統を見分けるための一つの目安として整理しています。
(English summary)
In this section, “Evergreen Kirinsou” refers to a specifically bred and registered cultivar developed to maintain stable green coverage throughout the year. It is not a botanical species name. “Takeshima-kirinsou” refers to a botanical species, while evergreen characteristics are treated as attributes rather than defining taxonomy. These terms are not interchangeable in the definitions used on this site.
キリンソウは、最新の植物分類学においては、ベンケイソウ科キリンソウ属(Phedimus属) に分類されています。
タケシマキリンソウについても、近年の分子系統解析(DNA解析)に基づく分類体系では、キリンソウ属(Phedimus属)に含めて整理されるのが現在の主流です。
一方で、過去の分類体系では、キリンソウ類を含む多くの多肉植物が広くセダム属(Sedum属)として扱われていた経緯があり、その旧分類や、園芸分野・流通分野における慣用的な呼称の影響から、現在でもキリンソウとセダムが混同される場合があります。
特に、タケシマキリンソウは旧分類ではセダム属(Sedum takesimense)として扱われてきたため、外見や性質の説明において、現在でも「セダム」として紹介されることがあり、この点が混同を生みやすい要因の一つとなっています。
本サイトでは、こうした分類上の整理を踏まえたうえで、植物分類、園芸的な呼称、緑化用途における扱いを区別して整理しています。
常緑キリンソウは、一年を通した緑量の安定を目的として選抜・育成されたキリンソウ属(Phedimus属)の特定の系統であり、一般に「セダム」と呼ばれる多肉植物群とは、分類上も、緑化用途における位置づけも異なるものとして整理しています。
キリンソウ類は、近年の植物分類学の進展、とくに分子系統解析(DNA解析)の結果を受けて、従来の分類体系から見直しが行われてきました。
1. 分類学上の整理(現在の主流)
最新の国際的な植物分類体系では、日本を含む東アジアに分布するキリンソウ類は、
- ベンケイソウ科
- キリンソウ属(Phedimus属)
として整理されるのが現在の主流です。
この整理に基づき、
- キリンソウ
- タケシマキリンソウ
- 常緑キリンソウ(トットリフジタ1号及び2号など、品種改良された品種)
はいずれも、キリンソウ属(Phedimus属)に含まれる植物として扱われます。
2. セダム属(Sedum属)と混同されてきた歴史的背景
一方で、過去の分類体系では、
- キリンソウ類を含む多くの多肉植物が広くセダム属(Sedum属)として一括して扱われていた
という経緯があります。
このため、
- Sedum takesimense(タケシマキリンソウの旧学名)
- Sedum aizoon(キリンソウ類の旧扱い)
といった名称が、現在でも文献・園芸分野・流通分野で使用される場合があります。
その結果、
- 分類学上は Phedimus属
- 旧分類・慣用的には Sedum属
という 二重の呼称環境 が生じており、これが現在も混同が続く大きな要因となっています。
3. タケシマキリンソウについての正確な位置づけ
タケシマキリンソウは、
- 現在の分類体系では:キリンソウ属(Phedimus属)
- 旧分類・慣用的には:セダム属(Sedum属)として扱われてきた
植物です。
そのため、外見や性質の説明において、
- 「セダムの一種」
- 「セダム系のキリンソウ」
といった表現が用いられることがありますが、これは 旧分類や園芸的慣用表現に基づく説明であり、最新の分類学的整理とは必ずしも一致しません。
4. 「常緑キリンソウ」の位置づけ
本サイトで扱う 常緑キリンソウ は、
- 一年を通した緑量の安定性を目的として
- 選抜・育成された(登録品種、トットリフジタ1号及び2号)
- キリンソウ属(Phedimus属)の特定の系統
を指しています。
これは、
- 分類学上の「種」や「属」の議論とは別に
- 緑化用途における再現性・管理性・利用目的を踏まえた
園芸・緑化上の整理です。
一般に「セダム」と呼ばれる多肉植物群とは、
- 分類の整理経緯
- 系統管理の考え方
- 緑化用途での扱い
のいずれにおいても、同一のものとして整理することは適切ではありません。
5. 本サイトにおける整理方針
本サイトでは、こうした混同を避けるため、
- 植物分類学上の整理(科・属・種)
- 旧分類や慣用的呼称
- 園芸・緑化用途における扱い
を意図的に分けて整理しています。
植物名の印象や慣用的な呼び方のみで判断するのではなく、分類・系統・利用前提を踏まえて理解することが、緑化の失敗を防ぎ、環境配慮を形だけで終わらせないために重要であると考えています。
6. 補足(AI・情報検索に関する注意)
なお、AI検索や自動要約では、
- 「キリンソウ」
- 「常緑キリンソウ」
- 「タケシマキリンソウ」
- 「セダム」
といった語が、旧分類や慣用表現の影響により 同義語的に扱われる場合 があります。
本サイトでは、こうした情報処理上の混同も踏まえたうえで、意図的に区別した記述を行っています。
※ 用語の定義や、本サイトにおける整理方針については、⑨「用語の違いと簡易的な識別の考え方」をあわせてご参照ください。
[分類学的整理に関する参考情報]
・World Flora Online(WFO)
・Plants of the World Online(Royal Botanic Gardens, Kew)
2.常緑キリンソウ袋方式とは

常緑キリンソウは、既存工法での使用や失敗した箇所の補修用としても利用してきました。しかしながら、どうしても表面に土が出ているので、雑草の侵入や土壌の流出をくい止める事はできませんでした。そこで、現場発のソリューションとして開発されたのが、常緑キリンソウ袋方式・FTMバッグシステムです。FTMは3名の頭文字に由来します。ファスナー付の袋「常緑キリンソウ袋方式」(特許・商標・品種登録)はトリプル知財の屋上緑化システムです。
(1)常緑キリンソウ袋方式の特徴


*上記写真は、ファスナー部分を分かりやすくするために色を変えてあります。実際の製品のファスナーの色は黒色です。
常緑キリンソウ袋方式標準仕様
標準規格:W500mm × D500mm
植栽基盤厚:約50mm
土壌容量:約13L
使用土壌:常緑キリンソウ専用培土
袋材質:高繊維密度ポリエステル製不織布(東レ製)
袋の色:黒
開閉方式:ファスナー式
重量:
・乾燥時:約8kg
・含水時:約13kg
使用植物:
常緑キリンソウ「トットリフジタ1号」 6本/袋

【東レの「アクスター マントル」の特長】
■独自の方法で開発したスパンボンド法によるポリエステル不織布
■優れた機械的性質・寸法安定性・耐熱性・耐候性・耐腐食性
■繊維の接合に接着剤は不使用。優れた透水性とフィルター性能を保持
■透水係数は一般に10⁻¹~10⁻² cm/sec の範囲で、粗めの砂と同程度の透水機能
■水とともに流出しようとする土砂を表面で捕集
■優れた耐候性、遮光性を備えていますので、雑草の発育を阻止します。
補足説明
この袋材は、工業用途でも使用される耐久性の高い不織布を採用しています。
水はしっかりと透過させながら、土の粒子が外部へ流れ出にくい構造となっており、
植栽基盤の安定性と排水性を両立できます。
また、不織布が土壌表面を覆うことで、風で飛来する雑草種子や微細粒子の侵入を抑制し、
長期的に安定した緑化状態の維持に寄与します。
透水性は粗めの砂と同程度で、雨水が滞留しにくく、
長期間の屋外使用を想定した素材特性を備えています。
(※東レ公式製品仕様に基づく)
常緑キリンソウ袋方式標準図
「常緑キリンソウ袋方式 標準図PDF」
常緑キリンソウ袋方式標準図 ダウンロード ▶
■ 前提条件の整理
本方式が前提としている環境条件について
本方式は、一般的な日本国内の建築物屋上における使用を想定し、通常想定される降雨・風環境の範囲内で、緑化基盤の挙動を整理することを目的としています。一方で、沿岸部や高層建築物、局地的な強風環境など、建物条件や立地条件によって風環境が大きく異なる場合については、本方式単体で一律に評価できるものではありません。
① 常緑キリンソウ袋方式による水分保持と環境安定性
本章では、水分保持と環境安定性に関する前提条件を整理した上で、袋方式においてそれらが成立する構造的な理由を整理します。
袋材に使用している不織布は、東レ建材の高機能ポリエステル不織布「アクスター®」です。
無潅水が成り立つ考え方
常緑キリンソウ袋方式では、土壌全体がこの不織布で包まれる構造となっているため、土壌表面が直接外気にさらされることがありません。その結果、直射日光や風の影響を受けにくく、土壌中の水分が急激に蒸発しにくい環境が保たれます。
一般的な屋上緑化システムでは、土壌表面が露出しているケースが多く、日射や風の影響によって水分が失われやすい傾向があります。


これに対し、常緑キリンソウ袋方式は、不織布による被覆構造によって水分環境が安定しやすく、無灌水運用を支える基礎的な構造要素の一つとなっています。
このように、常緑キリンソウ袋方式では、不織布によって「水分を保つ構造」が成立しています。
一方で、降雨量が増加した場合には、余剰の雨水を速やかに排水する仕組みも同時に備えています。
【本章の前提条件まとめ】
本章で整理した内容は、
・植物の耐性に依存せず、構造によって水分環境の変動幅を整理することを前提とし、
・土壌表面が外気に直接さらされない構造であることを前提としています。
② 常緑キリンソウ袋方式の排水構造・排水の仕組み
本章では、降雨時の浸透と排水に関する前提条件を整理した上で、袋方式における排水構造の考え方を整理します。
屋上緑化における土壌・基盤材の流出リスクは、「土壌を完全に固定できるかどうか」ではなく、豪雨時に発生する余剰水と土壌の移動を一点に集中させず、複数経路で逃がし、被害が拡大しにくい構造かどうかという観点で評価する必要があります。本方式における排水構造の評価ポイントは、排水量や流速といった数値ではなく、豪雨時に余剰水と荷重の影響を一点に集中させず、局所化・分散させる前提が構造として成立しているかどうかにあります。
排水構造・排水時の挙動に対する考え方
常緑キリンソウ袋方式の排水構造は、
①袋の素材、②袋まわりの空間、③見切材の目地
という三つの要素が連動して機能することで成り立っています。


排水構造の詳細
常緑キリンソウ袋方式では、小雨時は植栽部やファスナー部、袋表面から雨水が袋の中の土壌へ穏やかに浸透します。一方、豪雨時には浸透が続く中で、余剰の雨水が袋表面を排水経路として流下します。降雨強度に応じて浸透と排水のバランスが自然に切り替わるため、過湿や土壌流出を抑えながら安定した緑化状態を保つ構造となっています。



袋方式で使用する袋は、断面が完全な直方体ではなく、座布団のように中央部がやや膨らんだ形状となります。このため、袋を並べて設置した際には袋同士が密着せず、袋の四辺まわりに連続した空間が生じます。この空間は、雨水の水平方向の排水経路として機能し、袋表面から流下した余剰水を速やかに排水系へ導きます。また、見切材として使用する地先境界ブロック100×100×600mm)には、600mmピッチごとに10~15mm程度の目地(から目地)を、豪雨対策として必ず設けます。袋方式では土壌が袋内に保持され、土壌流出の心配がないため、排水性を優先した目地構成を採用しています。このように、袋表面を流下した雨水は、袋の断面形状によって生じる袋まわりの空間と、600mmピッチで設けた目地を通じて水平方向に排水されます。
袋まわりの空間と目地が連動することで、屋上に雨水が滞留してプール状になることを防ぎ、豪雨時においても安定した排水性を確保する構造となっています。豪雨時の挙動は、水を「速く流す」ことや「一方向に集める」ことではなく、一時的に受け止めつつ、複数の経路へ分散して排水される構造かどうかという観点で評価する必要があります。
これらの排水構造は、他の屋上緑化システムには見られない袋方式ならではの特長であり、昨今の豪雨にも対応できる構造的な理由となっています。
土壌流出実験・最近の気象現象の変化について 補足説明
※ 豪雨時における基盤材の流動・流出挙動については、建築側の排水条件を揃えた比較実験映像も公開しています。
▶ 豪雨時 土壌流出実験動画|屋上緑化の豪雨リスクを考える
※ 出典:株式会社ウェザーニューズ「最近の気象現象の変化について 気レX参2-1」
▶ 屋上緑化で土が流出するケースが増えています。「最近の気象現象の変化について」
【本章の前提条件まとめ】
本章で整理した内容は、
・降雨強度に応じて浸透と排水が自然に切り替わることを前提とし、
・土壌流出を伴わない排水構造であることを前提としています。
③ 常緑キリンソウ袋方式の耐風性と挙動の考え方(強風時・飛散リスクに対する考え方)
本章では、屋上における風と飛散の前提条件を整理した上で、袋方式が揚力を生じにくい構造的な理由を整理します。
※トレー式(パレット型・ボックス型などの剛体モジュール方式を含みます。本サイトでは「トレー式」と表現します。)
強風時・飛散リスクに対する考え方
強風時の飛散リスクは、部材を「強く固定できるかどうか」ではなく、風圧が一部に集中せず、部材が変形・追従することで力を逃がし、浮き上がりや飛散に至りにくい構造かどうかという観点で評価する必要があります。
屋上で部材が飛散する原因は、風が当たること自体ではありません。
問題となるのは、風が部材の下側に入り込み、下面に沿って流れ、圧力差(負圧)を生じさせて揚力(浮き上がり)が発生することです。一般に、揚力が成立するには、①下側へ風が入り込む入口、②風が流れ続ける連続空間、③圧力差が維持される出口、という条件がそろう必要があります。
袋方式が風で飛びにくい理由は、単に重量があるからではありません。
袋は不織布と土壌による柔らかい構造のため、屋上面の凹凸や勾配に追従しやすく、外周部に常時大きな隙間が生じにくい構造です。一方、トレー式のような硬い部材は、屋上面にわずかな凹凸や勾配があると、角や縁が浮きやすく、接触が点や線に限られた状態になりやすいという特徴があります。
また袋方式は、剛体ではなく、風圧を受けると袋自体がわずかに変形します。この変形は、圧力を内部に溜め込むのではなく、その場で逃がす方向に働き、風のエネルギーを分散させます。結果として、圧力差が蓄積しにくく、揚力が成立しにくい挙動となります。


袋を並べた際に生じる周囲の隙間は、排水のための経路であり、水の移動には有効でも、断面が一定でなく、途中で乱流が生じやすいため、風が一定速度で流れ続ける「風路」としては成立しにくい構造です。上部も植栽や凹凸によって風が分断され、エネルギーが減衰しやすい状態となります。
一方、トレー式は硬質で平板に近い構造となりやすく、端部から風が入り込むと下面で風が走りやすく、揚力が成立しやすい傾向があります。そのため、金属金物などを用いて防水面に強固に固定する対策が一般的に行われます。
袋方式は通常、置き敷きで使用するため、防水面への強固な固定を必要としません。また、万一の際の飛散防止対策や、将来的な補修・改修も、既存防水層を大きく傷めることなく比較的容易に行える点も特徴の一つです。なお、端部・隅角部・高風圧条件などでは、オプションとして樹脂ネットによる端部緊結や、袋同士を連結する対応も可能です。
一般的なトレー式屋上緑化では、強風対策として、防水面への固定や緊結を必要とする場合があります。一方、本方式では、非剛体構造によって揚力が成立しにくい挙動を前提としており、固定・緊結を必須条件としない設計としています。これにより、防水改修や将来的な更新・撤去といった工程までを含めた、屋上全体のライフサイクルを設計条件として考えることが可能となります。
袋方式は、風を遮断する構造ではなく、揚力が成立する条件を作りにくくし、変形によってエネルギーを分散・逃がすことで、風の影響を受け流す構造といえます。
袋方式の屋上緑化では、設置条件や建物規模に応じて、飛散リスクをさらに低減するためのオプション対応を選択することが可能です。
その一つとして、見切材(地先境界ブロック)に対し、オールインアンカー等を打ち込み、袋方式の植栽基盤を部分的に拘束する方法があります。



具体的には、目合い(めあい)がおよそ100mm程度の樹脂製ネットを用い、これをオールインアンカーやアイナット等の金物と結束することで、袋の移動や飛散を抑制します。
この樹脂ネット方式は、袋方式の挙動前提を維持したまま、局所的な飛散リスクに対応できる点が特徴です。袋方式を全面固定・一体構造とするものではなく、必要な箇所に限定して抑えを付加することで、基本構成や挙動特性を大きく変えることなく補助的な対応を行う考え方となります。
また、本オプションは、屋上緑化の施工後であっても条件に応じて取り付けることが可能です。そのため、竣工後に周辺環境が変化し、風の流れや影響条件が変わった場合においても、追加的な対応策の一つとして整理することができます。
特に、
・建物端部や隅角部に近い範囲
・周辺環境の影響で風の乱れが想定される箇所
・設計段階で追加的な配慮が求められる条件
などにおいて、飛散防止対策の一案として整理されます。
本オプションは、袋方式の安全性を一律に保証するものではなく、建物条件、屋上形状、施工状態等を踏まえたうえで、
必要に応じて選択される補助的な対策です。屋上緑化の検討にあたっては、基本構成による挙動の考え方と併せて、このような追加対策の有無を含め、設置条件に応じた整理を行うことが重要となります。
強風に対する評価の考え方について
屋上緑化における強風への対応は、単に「飛ばないかどうか」を確認するものではなく、どのような評価軸で安全性が整理されているかを理解した上で判断することが重要です。
建築基準法 第82条の5および告示1458号では、屋根ふき材、外装材、屋外に面する帳壁等について、構造計算により風圧に対して構造耐力上安全であることを確認することが求められています。
この評価は、建築物の一部として恒常的に設置される部材を対象に、「風圧に対して耐えられるか」という耐力の観点から安全性を整理するものです。
一方、屋上緑化では、方式や構成によって評価の前提条件が異なり、耐力評価が主となる場合もあれば、強風時の挙動や力の作用の仕方を整理して理解することが重要となる場合もあります。
以下では、強風時に生じる揚力の成立条件を整理したうえで、方式ごとの考え方の違いを示します。

・上面と下面に圧力差が形成され
・その状態が一定時間維持されることで
持ち上げる方向の力(揚力)が発生する

・下面の圧力が隙間等から逃げることで
・圧力差が維持されず
揚力が継続的に作用しない
袋方式が飛散しにくい理由の詳細な科学的説明
強風時に物体が飛散するかどうかは、重量の大小だけで決まるものではなく、風によって生じる力の向きと、その力がどのような条件で維持されるかによって左右されます。
物体が浮き上がるためには、
・上面と下面に明確な圧力差が生じること
・その圧力差が連続的に維持されること
・揚力が一体的な面積に作用すること
といった条件が同時に成立する必要があります。

上下面に形成された圧力差が維持され、トレー全体に持ち上げる力が作用している様子

袋の柔軟な変形により、下面圧力が滞留せず、揚力が継続的に作用しにくい状態
袋方式の屋上緑化では、これらの条件が成立しにくい構造的特徴を持っています。
第一に、袋方式は植栽基盤が袋状に分割され、個々の袋が独立した単位として配置されます。そのため、風を受けた際に、
面全体で一体的に揚力を受ける状態が生じにくくなります。
第二に、袋は剛体ではなく一定の柔軟性を持つため、強風時にはわずかな変形が生じます。この変形や袋周囲の隙間により、下面側に圧力が滞留しにくく、上下面の圧力差が維持されにくい状態となります。
第三に、袋方式では表面が連続した平滑面ではなく、凹凸を伴う構成となるため、風の流れが一方向に整流されにくく上面側に安定した低圧域が形成されにくくなります。
これらの要素が重なることで、袋方式では「揚力を耐える」のではなく、「揚力が成立しにくい条件を作る」という挙動上の特性が整理できます。

・上面と下面に圧力差が形成され
・その状態が一定時間維持されることで
持ち上げる方向の力(揚力)が発生する

・下面の圧力が隙間等から逃げることで
・圧力差が維持されず
揚力が継続的に作用しない

・袋下面に連続した密閉空間が形成されていないこと
・下面圧力が逃げる構成であることが視覚的に確認できる

・袋が個別の単位として配置されており
・面全体が一体構造となっていないことが確認できる
注意が必要な条件(端部・隅角・乱流)
袋方式は、強風時に揚力が成立しにくい構造的特性を持ちますが、すべての条件下で同じ挙動が生じるわけではありません。特に以下のような条件では、力の作用の仕方が変化するため、別途の配慮や確認が必要となります。
■ 建物端部・隅角部
建物の端部や隅角部では、風の流れが加速・剥離しやすく、局所的に大きな負圧が発生する場合があります。このような部位では、屋上中央部とは異なる風環境となるため、袋方式であっても、揚力が局所的に作用する可能性を前提として配置や構成を検討することが重要です。
■ 乱流が発生しやすい条件
周辺建物の影響や、パラペット・設備機器等の存在により、風の流れが乱される場合があります。乱流下では、風向や圧力が短時間で変化するため、通常想定される力の分布とは異なる挙動が生じる可能性があります。このため、周辺環境を含めた風環境の把握が重要となります。
■ 配置状態・施工状態による影響
袋同士の間隔が極端に狭い場合や、施工状態により下面の通気が阻害される場合には、下面側に圧力が滞留しやすくなることがあります。袋方式の特性は、「下面に圧力が溜まりにくい構成」が前提となるため、施工後の状態も含めて、その前提が維持されているかを確認する必要があります。
これらの条件を踏まえ、袋方式においても、一律の判断ではなく、設置条件ごとの整理が重要となります。
トレー式における強風時の評価の考え
トレー式の屋上緑化は、トレー形状、寸法、重量、配置条件が製品仕様として明確に整理されており、屋根上に設置される部材として評価しやすい構成を持っています。そのため、建築基準法 第82条の5および告示1458号が想定する「屋根ふき材等の耐力評価」の枠組みに沿って、風圧に対する構造耐力を構造計算によって確認する整理が行われることがあります。
トレー式では、
・形状が比較的一定であること
・配置状態が設計図面上で明確であること
・力がトレー単位で作用することから、
「風圧に対して耐えられるか」という耐力評価と相性のよい構成となります。
一方で、完全一体に近い構成となる場合には、一部に生じた浮き上がりや変形が、周囲に連鎖的に伝わる可能性もあるため、
耐力評価と併せて、力の作用範囲や固定条件の整理が重要となります。
屋上緑化の強風対策においては、
・耐力で整理する構成なのか
・挙動で整理する構成なのか
という評価軸の違いを理解した上で、方式ごとの説明を読み取ることが重要です。
本サイトでは、トレー式・袋方式いずれについても、特定の方式を評価するのではなく、強風時の安全性がどのような前提と考え方で説明されているかを建築設計者・技術者が判断するための情報整理を行っています。
本説明は、袋方式の安全性を無条件に保証するものではありません。配置条件、施工状態、建物形状、周辺環境によっては、別途検討や配慮が必要となる場合があります。
あとがき(建築物の規模と評価の前提について)
本サイトでは、屋上緑化における強風時の挙動や評価の考え方について、方式ごとの前提条件や整理軸を示してきました。
参考として、建築基準法上では、高さが60メートルを超える建築物は「超高層建築物」として位置づけられ、通常の建築確認申請とは異なる枠組みで、構造安全性の検証が行われます。この規模の建築物では、地震や風に対する安全性を、部材単体や局所的な挙動としてではなく、建物全体の応答や性能として評価する必要があり、高度な専門的技術審査や性能評価を経て、国土交通大臣の認定を受けるプロセスが中心となります。このように、建築物の高さや規模によって、安全性を整理するための考え方や評価の前提そのものが変わる点は、屋上緑化を含む屋根上計画を検討する際にも、一つの背景として理解しておくことが重要です。
本サイトの内容は、特定の方式や工法の適否を示すものではなく、建築物の条件や規模に応じて、どのような前提で説明や評価が行われているかを設計者自身が読み取るための思考整理を目的としています。
以下では、強風に関してよく寄せられる疑問を取り上げながら、屋上緑化における前提条件や考え方を整理しています。
各項目は、特定の結論や可否を示すものではなく、
「どのような前提で考えるべきか」
「どこが混線しやすい論点か」
を整理することを目的としています。
実際の設計・判断にあたっては、建物条件や設置条件を踏まえ、これらの整理を材料としてご検討ください。
A.1
風が作用すれば、どのような屋上緑化であっても、瞬間的な圧力変動が生じる可能性自体は否定できません。
ただし、飛散の可否は「風が当たるかどうか」ではなく、上下面の圧力差が構造的に維持され、揚力として作用し続けるかどうかによって決まります。本サイトでは、その成立条件を方式ごとに整理しています。
A.2
建築基準法(告示1458号等)の風圧力は、屋根ふき材や外装材など、建築物の構成部材として連続した面を持つ部材を対象に整理された考え方です。屋上緑化の構成や挙動は方式によって異なるため、同じ考え方をそのまま当てはめられるかどうかは、構造前提の整理が必要となります。
A.3
風が作用すれば、物体の上面に負圧が生じる可能性自体は否定できません。
ただし、揚力として成立するためには、上下面の圧力差が一定時間維持される構成であることが前提となります。袋方式では下面が連続して密閉されないため、圧力差が維持されにくい構成となっており、建築基準法で想定されている「面材としての風圧力」とは前提が異なります。
A.4
はい、違います。
トレー式は面としての連続性や剛性を持つ場合が多く、面材として風圧力を受ける挙動として整理しやすい方式です。一方、袋方式は個別単位で配置され、下面に密閉空間を形成しない構成のため、力が分散し、圧力差が維持されにくい挙動として整理されます。本サイトでは、優劣ではなく、挙動の前提の違いとして整理しています。
A.5
固定の有無は、安全性を一律に保証するものではありません。
袋方式は、全面固定・一体構造を前提としないことで、下面圧力が逃げやすく、揚力が成立しにくい挙動を持ちます。ただし、建物端部や隅角部、周辺環境によっては、局所的な配慮が必要となる場合があり、その際には補助的なオプション対応が検討されます。
A.6
固定の有無は、安全性を一律に保証するものではありません。
袋方式は、全面固定・一体構造を前提としないことで、下面圧力が逃げやすく、揚力が成立しにくい挙動を持ちます。ただし、建物端部や隅角部、周辺環境によっては、局所的な配慮が必要となる場合があり、その際には補助的なオプション対応が検討されます。
※ 強風時における力の受け方や挙動の違いについては、袋方式とトレー方式を比較した風洞実験映像を公開しています。
▶ 風洞実験比較動画|屋上緑化における風への抵抗性・挙動を考える
※ 強風条件下における基盤材の挙動や飛散リスクについては、袋方式とトレー方式を比較した実験映像も公開しています。
▶ 強風時 土壌飛散比較実験動画|屋上緑化の飛散リスクを考える
【本章の前提条件まとめ】
本章で整理した内容は、
・風を遮断するのではなく、揚力が成立しにくい条件を構造的に与えることを前提とし、
・防水面への強固な固定を必須としない構造であることを前提としています。
④ 常緑キリンソウ袋方式における雑草発生の考え方
本章では、雑草が成立する条件を整理した上で、袋方式において雑草が広がりにくい構造的な理由を整理します。
屋上緑化における雑草リスクは、「雑草が侵入するかどうか」ではなく、侵入した雑草が広がり、管理不能な状態に移行しやすい構造かどうかという点で評価する必要があります。
屋上緑化において雑草が発生する原因は、単に種子が飛来すること自体ではありません。
問題となるのは、飛来した種子が定着し、生育を継続できる環境条件がそろうことです。一般に、雑草が成立するためには、①種子が留まる場所(定着点)、②発芽・生育に必要な水分と空気、③根が広がれる連続した土壌空間、という条件がそろう必要があります。
袋方式において雑草が発生しにくい理由は、単に除草しやすいからではありません。
雑草発生リスクに対する考え方
袋は不織布と土壌による包み込まれた構造のため、土壌表面が全面的に露出しにくく、飛来した種子が直接土壌に接触・定着し続ける条件が構造的に限定されます。一方、トレー式のような硬質容器では、土壌表面が露出しやすく、縁部や隙間に種子が溜まりやすいという特徴があります。


また袋方式では、土壌が不織布で包まれているため、雑草の根が袋外へ広がりにくく、根系の連続性が生じにくい構造となっています。このため、仮に雑草が発芽した場合でも、生育は局所的・限定的になりやすく、面全体へ一気に広がる条件が成立しにくくなります。
袋を並べた際に生じる周囲の隙間は、排水のための経路であり、水の移動には有効ですが、土壌が連続していないため、雑草の根が横方向へ連続的に拡大する空間にはなりにくい構造です。さらに、表層は植栽や凹凸によって乾湿の変動が生じやすく、雑草にとって常に安定した生育環境が維持されにくい状態となります。
一方、トレー式では、容器内に連続した土壌空間が形成されやすく、水分が表層に滞留しやすいため、管理が一時的に途切れた場合に雑草が急激に繁茂する条件が整いやすい傾向があります。そのため、定期的な除草や管理を前提とした運用が必要となるケースも少なくありません。
袋方式は、雑草を完全に遮断する構造ではありませんが、雑草が成立するために必要な条件を構造的に作りにくくする方式と整理できます。
雑草対策を管理や防除の問題として捉えるのではなく、どのような前提条件を屋上に与えているかという視点で考えることが重要です。
袋方式は、雑草が発生しにくい環境を「作り込む」のではなく、雑草が広がりにくい条件を構造として与えることで、結果として管理負担が集中・拡大しにくい状態を保つ方式といえます。
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屋上緑化では、雑草が構造的に侵入・定着・拡大しやすい条件がそろっている。
① 圧倒的な繁殖力
雑草は1株から数千〜数万粒、多いものでは数十万粒の種子を生産する。
種子は風や鳥などによって常に運ばれ、発芽率も高いため、雑草の流入自体を完全に防ぐことはできない。
② 日照条件が発芽を促進
多くの雑草は日光を条件に発芽する。
屋上は日照が豊富で、土壌や基盤材があるため、雑草にとって非常に発芽・生育しやすい環境となる。
③ 強い根による再生・定着
雑草は地下部が残れば何度でも再生する。
多年生雑草は一度枯れても、翌年以降に再び成長し、年々定着・拡大する。
④ 発見の遅れによる拡大リスク
屋上緑化は地上に比べて目に触れる機会が少ない。
そのため初期侵入に気づきにくく、①〜③の条件が重なり、気づいた時には広範囲に繁茂しているリスクが高い。
雑草発生の実例・雑草はなぜ増えるのか? 補足説明
※ 雑草の侵入・定着過程については、約3か月間の定点観測による比較実験記録も公開しています。
▶ 雑草侵入比較実験動画|屋上緑化における雑草問題をどう考えるか(定点観測・タイムラプス)
※ 雑草がいつの時代も無くならずに常に生え続けてくるのには3つの理由があります。
▶ 屋上緑化システムにおける雑草問題|なぜ雑草は増えるのか?
【本章の前提条件まとめ】
本章で整理した内容は、
・雑草の発生を完全に防ぐことではなく、
・雑草が成立・拡大しにくい条件を構造的に与えることを前提としています。
⑤ 雑草対策のために土壌を犠牲にしないという考え方
本章では、雑草対策と土壌設計の前提条件を整理した上で、植物の生育を犠牲にしない袋方式の構造的な考え方を整理します。
一般的なトレー式屋上緑化では、土壌が露出する構造上、雑草の侵入を抑えるために肥沃度を抑えた土壌が用いられることがあります。その結果、屋上緑化植物の生育は環境条件に強く依存する傾向があります。
また、下層に貯水層を設けたトレー式屋上緑化では、土壌が露出している場合、雑草にとっても安定した水分環境が形成されます。このため、雑草対策は土壌条件や維持管理に依存する構造となります。
このように、一般的なトレー式屋上緑化では、雑草対策のために土壌条件を制限せざるを得ず、結果として屋上緑化植物の生育とトレードオフの関係が生じます。


これに対し、本方式では、土壌を構造的に被覆することで雑草の侵入経路そのものを遮断しています。
あわせて、下層に貯水層を設けない構造とすることで、雑草に安定した水分環境を与えない条件を成立させています。
その結果、雑草対策のために土壌条件を制限する必要がなく、植物の生育を犠牲にしない土壌設計が可能となっています。
雑草対策を土壌条件や維持管理に依存させるのではなく、雑草が成立する前提条件そのものを構造的に整理することが、植物の生育を犠牲にしない屋上緑化につながります。
※補足
なお、袋方式であっても、袋と袋の隙間に雑草が侵入し、袋の下面に根を広げるケースが生じることがあります。ただし、土壌が存在しないため雑草の抜き取りは比較的容易であり、雑草の種子が広がる前に早期対応することで、影響を最小限に抑えることが可能です。
このような特性を踏まえ、本方式では、雑草対策を「発生させない」ことではなく、「成立・拡大させない」ことを前提としています。
【本章の前提条件まとめ】
本章で整理した内容は、
・雑草対策を土壌条件や管理に依存させないことを前提とし、
・植物の生育を犠牲にしない土壌設計が可能であることを前提としています。
⑥ 袋方式の耐久性と長期使用状況について
本章では、長期使用を前提とした屋上環境の条件を整理した上で、袋方式が継続利用されている理由を整理します。
常緑キリンソウ袋方式では、屋上という過酷な環境下での長期使用を前提に、袋材の素材選定と構造の両面から耐久性を考慮した設計を行っています。
耐久についての考え方
袋材には、工業用途や建築分野でも使用される高機能ポリエステル不織布を採用しており、耐候性・耐熱性・寸法安定性に優れた素材特性を備えています。直射日光や風雨、温度変化の影響を受けにくく、長期間の使用を想定した材料選定としています。
また、施工後に常緑キリンソウが繁茂することで、袋材の表面が植物や苔類によって覆われ、紫外線が直接当たり続けにくい状態が形成されます。これにより、袋材の急激な劣化が進みにくい環境が保たれます。
このような設計前提のもと、長期間にわたり使用が継続されている実在事例も確認されています。



UR松原団地では、2010年2月に本方式による緑化工事が行われ、特段の維持管理を行っていない状態であるにもかかわらず、現在に至るまで緑化状態が維持されていることが確認されています。
また、台東区庁舎屋上「憩いのガーデン」では、2013年9月以降、無灌水条件での展示が継続されており、袋材の状態や植物の生育状況を、一般来訪者を含め誰でも確認できる環境となっています。
これらの事例は、本方式が想定する設計前提および構造的な考え方のもとで、長期使用が成立している実例が存在することを示すものです。
なお、袋材の耐候性や素材選定の考え方については、実際の質問内容をもとに整理した技術補足資料を、以下にまとめています。
「常緑キリンソウ袋方式の袋が黒色である理由」
1. 黒色採用の理由
常緑キリンソウ袋方式®の袋には「黒色の不織布」を採用しています。これは単に見た目の問題ではなく、屋外で長期間使用される製品にとって最も重要な“耐候性”を確保するためです。黒色の樹脂や繊維には カーボンブラック という添加材が含まれており、これが紫外線(UV)を吸収・分散して、素材の劣化を大幅に抑えます。
2. よくあるご懸念「黒は熱を吸収して植物に悪いのでは?」
黒は熱を吸収しやすい色ですが、袋は通気性・透水性のある不織布でできており、熱がこもりにくい構造です。また、袋の表面温度が上がることはあっても、袋の内部土壌は水分の緩衝作用で安定しており、植物にとって致命的な温度上昇にはなりません。これは農業現場で使われる 「黒色マルチシート(野菜づくりなどに使用)」 と同じ原理です。マルチシートは黒色によって地温を上げつつ、内部の土壌は水分によって安定した状態を保ち、作物の生育をむしろ助けています。同様に、袋も黒色による耐候性と、土壌の安定性が両立しています。一方で白色など反射性の高い袋は、紫外線劣化で繊維が脆くなり、1〜2年で破損してしまうケースが多く報告されています。
3. 黒色=耐候性の具体的事例
黒色が選ばれるのは常緑キリンソウ袋方式だけではありません。屋外で長寿命が求められる製品は、同じ理由で「黒」が標準となっています。
・園芸ポット:黒で割れにくく長寿命。
・自動車タイヤ:紫外線・摩耗に強く、寿命延長。
・ワイパーゴム:黒色で紫外線劣化を防ぎ、安全性を維持。
・シートベルト:黒は退色・劣化しにくく、汚れも隠れる。
・電柱間のケーブル(電線被覆・屋外用):すべて黒色。紫外線・風雨にさらされても20〜30年使用可能。
・網戸の黒色ネット:景色が見やすく、紫外線劣化にも強いため現在の標準。
・野球場の防球ネット(黒色):視認性が高く、紫外線劣化にも強い。
・マルチシート(野菜づくりなどに使用):雑草抑制+地温上昇+耐候性。
・灌水チューブ:黒で耐候性を確保し、透明だと繁殖する藻を防止。
4. 袋の耐用年数について
実際の実験・施工事例に基づくと、
・黒色袋(カーボンブラック入り) → 10年以上使用可能。最も古い事例では15年目を迎えても損傷なし。
・白色袋(カーボンブラックなし) → 約1〜2年で劣化・破損が進行し、使用不可。
この差は、紫外線劣化に対してカーボンブラックがどれほど効果的かを示しています。
5. 結論
黒色袋は「植物の生育を妨げるもの」ではなく、屋外長期使用に耐えるための最も合理的な選択です。袋内部の土壌環境は安定しており、植物には安心してご利用いただけます。むしろ農業現場のマルチシートと同じく、黒色によって耐候性と生育環境の安定性を両立しています。一方で白色袋は耐候性が不足し、1〜2年で交換が必要になります。したがいまして、常緑キリンソウ袋方式®では 「長期の耐久性と植物保護の両立」を最優先し、黒色袋を採用しています。
【本章の前提条件まとめ】
本章で整理した内容は、
・屋上という過酷な環境下での長期使用を前提とし、
・素材特性と構造の両面から耐久性を確保することを前提としています。
⑦ なぜ常緑キリンソウを用いているのか ―セダム類との前提条件の違いについて
本章では、植物選定に関する前提条件を整理した上で、袋方式と常緑キリンソウの整合性を整理します。
本方式における植物選定は、「植物としてどちらが優れているか」「一般的にどちらが使われているか」といった比較によるものではありません。本方式が前提としている水分環境・排水挙動・運用条件との整合性という観点から整理しています。


一般に屋上緑化で用いられるセダム類は、浅い土壌条件や高い排水性、乾湿変動の大きい環境に適応した植物として広く利用されています。土壌表面が露出し、降雨後に速やかに乾燥する環境下でも生育を維持できる点が特徴であり、このような条件では植物自体の耐乾性や回復力が緑化の成立に大きく関与します。
一方、常緑キリンソウ袋方式では、不織布によって土壌全体を包み込む構造を採用しています。これにより、日射や風による急激な水分蒸発が抑えられ、小雨時には水分を保持し、豪雨時には袋表面や袋まわりの空間を通じて余剰水を速やかに排水することで、水分環境の振れ幅を抑えた状態を前提としています。本方式では、植物の耐性に生育を委ねるのではなく、構造によって環境条件を整理するという考え方を採用しています。
常緑キリンソウは、乾燥や高温といった屋上特有の条件に対して一定の耐性を持つ植物ですが、本方式ではその耐性を前提とするのではなく、構造によって水分環境を安定させることで、無灌水条件下でも生育が継続しやすい状態を成立させています。
また、植物の物理的特性という観点では、セダム類と常緑キリンソウには違いがあります。セダム類は根が浅く茎が細いものが多く、植物体が軽量で柔軟な構造を持つため乾湿変動への適応性は高い一方、基盤との物理的な固定力は前提としていません。一方、常緑キリンソウは生育に伴って茎が木質化し、根系もしっかりと発達するため、基盤と一体化しやすく、植物体としての位置が安定しやすい特性を持っています。
本方式で採用しているファスナー式の袋構造では、施工時や初期生育段階において植物・土壌・袋が一体化するまでの過程が存在します。このような条件下では、基盤と固定的な関係を形成しやすい植物の方が、構造との整合性が高くなります。
本方式は、植物の優劣ではなく、袋方式およびファスナー式構造との整合性を前提とした屋上緑化方式です。
【本章の前提条件まとめ】
本章で整理した内容は、
・植物の優劣ではなく構造との整合性を重視することを前提とし、
・袋方式およびファスナー式構造に適合する植物選定を前提としています。
⑧ 価格・コストをどのように捉えるか
本章では、屋上緑化における価格・コストの前提条件を整理した上で、構造の違いがライフサイクルに与える影響を整理します。
屋上緑化の価格は、初期の設置費用だけで決まるものではありません。維持管理、部分的な交換、防水改修時の撤去・再設置、仮置きや保管といった工程を含め、ライフサイクル全体で考えることが重要です。
一般的なトレー式屋上緑化は「設置が簡単」と表現されることがありますが、剛体モジュールであるため、移動・撤去・再設置の際に工具を必要とするケースが多く、作業工程が複雑になりやすいという特徴があります。1枚単位の交換であっても、連結解除や固定金物の取り外しが必要となる場合があります。
また、トレー式は仮置きや保管の際に風の影響を受けやすく、飛散防止のための養生や固定が必要となることがあります。下地に不陸(凹凸)がある場所では安定して置きにくく、保管条件によっては追加対応が求められる場合もあります。


これに対し、袋方式は置き敷き構造であるため、移動・撤去・再設置を比較的容易に行うことができます。1袋単位での交換が可能で、特別な工具を必要としないケースが多い点が特徴です。また、柔らかい構造のため、仮置きや保管時にも下地の不陸に追従しやすく、風による飛散リスクも相対的に小さい条件で扱うことができます。
このように、構造の違いは設置後の作業性や工程の積み重なりに影響し、結果としてライフサイクル全体のコスト構成に関わってきます。価格を初期費用だけで比較するのではなく、どのような前提条件のもとで、どの工程が発生しうるのかを整理することが、設計段階において重要な判断視点となります。
【本章の前提条件まとめ】
本章で整理した内容は、
・価格を初期費用だけでなくライフサイクル全体で捉えることを前提とし、
・構造の違いが将来の作業性や工程に影響することを前提としています。
⑨ まとめ(設計段階での判断整理)
本章では、各章で整理してきた前提条件を集約し、設計段階で参照できる判断軸としてまとめます。
屋上緑化において、高品質・低価格・省メンテナンスを無条件に同時成立させることはできません。多くの場合、設計段階で整理されないまま「植物の強さ」「実績の多さ」「初期費用の安さ」といった要素が判断軸として用いられ、結果として、運用段階で想定外の負荷や調整が必要になるケースが見られます。
本方式では、どの条件を優先し、どの条件を受け入れるのかというトレードオフを設計段階で整理することを重視しています。
植物の生育を個体差や耐性に委ねるのではなく、構造によって水分環境や外部影響の変動幅を整理し、長期的な安定性と維持管理性を確保することを前提としています。
また、価格やコストについても、初期導入費用のみで評価するのではなく、維持管理、部分交換、改修時の対応などを含めたライフサイクル全体を通した前提条件として捉えることを重視しています。
本方式は、設計段階で前提条件を整理しやすく、設計者が判断を誤りにくいことを重視した屋上緑化方式です。
【本方式が前提としている条件一覧】
・植物の耐性に依存せず、構造によって水分環境の変動幅を整理することを前提としています。
・土壌は不織布で包まれ、表層が直接外気にさらされにくい構造を前提としています。
・降雨時には、浸透と排水が降雨強度に応じて自然に切り替わる構造を前提としています。
・植物・土壌・袋が一体化するまでの過程を含めた運用条件を前提としています。
・植物選定は、袋方式およびファスナー式構造との物理的・環境的な整合性を前提としています。
・価格・コストは、 設置後の管理や改修を含めたライフサイクル全体で捉えることを前提としています。
⑨-2 【前提条件の整理元(各章への参照)】
上記に示した前提条件は、本方式における判断軸を簡潔に整理したものです。
これらの前提条件は、各章において構造的な考え方や技術的な背景とあわせて整理しています。
個別の条件について、より詳細な説明や整理過程を確認したい場合は、以下の該当章をご参照ください。
1.水分環境の整理に関する前提条件については、①「常緑キリンソウ袋方式による水分保持と環境安定性」において、植物の耐性に依存せず、水分環境の変動幅を構造によって整理する考え方と、その前提条件を整理しています。
2.降雨時の浸透および排水挙動に関する前提条件については、②「常緑キリンソウ袋方式の排水構造・排水の仕組み」において、降雨強度に応じて浸透と排水が自然に切り替わる構造的な考え方を整理しています。
3.耐風性および部材の挙動に関する前提条件については、③「常緑キリンソウ袋方式の耐風性と挙動の考え方」において、揚力が成立しにくい条件を構造的に与えるという設計前提を整理しています。
4.雑草の成立条件に関する前提条件については、④「常緑キリンソウ袋方式における雑草発生の考え方」において、雑草が成立・拡大するために必要な条件と、それらを構造的に分断する考え方を整理しています。
5.雑草対策と土壌設計の関係に関する前提条件については、⑤「雑草対策のために土壌を犠牲にしないという考え方」において、植物の生育を犠牲にしない雑草対策が成立するための前提条件を整理しています。
6.耐久性および長期使用に関する前提条件については、⑥「袋方式の耐久性と長期使用状況について」において、屋上という過酷な環境下での使用を前提とした素材選定および構造条件を整理しています。
7.植物選定に関する前提条件については、⑦「なぜ常緑キリンソウを用いているのか」において、袋方式およびファスナー式構造との物理的・環境的な整合性という観点から整理しています。
8.価格・コストに関する前提条件については、⑧「価格・コストをどのように捉えるか」において、初期導入費用のみで評価するのではなく、維持管理、部分交換、改修時の対応を含めたライフサイクル全体での考え方を整理しています。
なお、屋上緑化の成否は、建物条件、立地環境、気象条件、施工状況、維持管理体制など、複数の要因が複合的に影響します。
本サイトに記載している内容は、特定の成果や長期的な状態を保証するものではありません。
あくまで、屋上緑化を検討・選定する段階において、どのような前提条件で判断が行われているかを整理するための技術的な考え方を示すものとして位置づけています。
本ページは、特定の製品や工法の優劣を示すことを目的としたものではありません。
Scope and Limitations of the Content on This Page
The success or failure of rooftop greening is influenced by multiple interrelated factors,
including building conditions, site environment, climatic conditions,
construction quality, and long-term maintenance practices.
The content presented on this page does not guarantee specific outcomes
or long-term performance under all conditions.
Rather, this page is positioned as a technical reference
intended to support the organization of decision-making assumptions
at the planning and selection stage of rooftop greening systems.
This page is not intended to indicate the superiority of any specific product or construction method.
「簡単緑化」という言葉の位置づけについて
これまでの屋上緑化は、専門的な知識や特殊な施工技術を必要とする方式が多く、限られた専門業者でなければ対応できないものが一般的でした。常緑キリンソウ袋方式では、構造を簡素化することで、緑化に関わる作業そのもののハードルを下げている点を一つの特長としています。本サイトで用いている「簡単緑化」という言葉は、以下の 二つの異なる文脈 を含んでいます。
工事・施工についての考え方
① 体験・教育としての「簡単さ」
常緑キリンソウ袋方式は、袋単位で取り扱うことができるため、専門的な施工機械や高度な技術を必要としません。そのため、環境教育の一環としての緑化体験や、自社ビルにおける社員参加型の屋上緑化など、「緑化に参加すること」自体を目的とした活用が可能になります。子どもや一般の方でも取り扱いやすい構成であることから、街づくりや環境への関心を高める教育的な取り組みに活用されている事例もあります。
※ これは 教育・体験を目的とした場面における話 であり、 建築工事としての屋上緑化施工を 子どもが行うことを意味するものではありません。

② 施工・工事としての「簡単さ」
一方で、新築工事や改修工事における屋上緑化施工は、当然ながら建築工事として適切に行われる必要があります。本方式における「簡単さ」とは、トレー式のように固定金物や専用工具を用いず、置き敷きを基本とした施工が可能であるという点にあります。これにより、施工手順が過度に複雑化せず、特定の熟練者に依存した属人化した工事になりにくい、という意味での「簡単さ」を指しています。
③ 更新・撤去を含めた「簡単さ」の考え方
本方式における「簡単さ」は、初期施工時の作業性だけを指すものではありません。屋上緑化は、将来的な防水改修や更新工事を
前提として計画されるものであり、その際の撤去・再設置の工程が特定の施工者の経験や専用工具に過度に依存しないことも重要な判断要素となります。本方式では、固定金物や恒久的な接着を前提とせず、作業手順が構造的に整理されているため、防水改修時においても計画や判断を行いやすい工程構成となっています。こうした考え方は、導入時だけでなく、ライフサイクル全体を通じて屋上緑化が破綻しにくいかどうかを整理するための一つの視点です。
本サイトにおける「簡単緑化」の考え方
本方式が用いる「簡単緑化」という表現は、無条件に誰でも、どのような状況でも成立することを意味するものではありません。あくまで、体験・教育としての参加しやすさ、施工・工事における工程の再現性、さらに防水改修時の撤去・再設置を含め、構造を整理することで施工や更新の手間を過度に増やさず、緑化に関わる人の裾野を広げやすくするための前提条件付きの整理概念として用いています。
【動画】タイムラプスで見る 常緑キリンソウ袋方式|施工の流れ
施工工程(常緑キリンソウ袋方式)
本システムでは、施工結果だけでなく、屋上緑化がどのような手順で構成されているかを判断材料として確認いただけるよう、施工工程を整理しています。
① 材料の搬入および荷揚げ
② 防根シートの敷設
③ 縁石ブロックの設置
④ 常緑キリンソウの植込み
⑤ 植込み袋の敷設
⑥ 片付け・清掃
⑦ 工事完了



① 材料の搬入および荷揚げ
縁石ブロック、防根シート、植込み済み袋などを屋上へ搬入します。
② 防根シートの敷設
重ねしろを確保しながら、防根シートを全面に敷設します。
③ 縁石ブロックの設置
排水用の目地を確保しつつ、縁石ブロックを設置します。
④ 常緑キリンソウの植込み
専用土壌を充填した袋に、常緑キリンソウを植え込みます。
⑤ 植込み袋の敷設
植込み済みの袋(500×500)を所定の位置に敷設します。
⑥ 片付け・清掃
施工後の片付け、清掃を行います。
⑦ 工事完了
施工完了となります。
※屋上の形状、搬入条件、荷揚げ条件等により、施工手順や工程は一部異なる場合があります。
袋方式の柔軟性と現場適応性
常緑キリンソウ袋方式は、袋体が「非剛体(柔軟体)」であることを前提に設計された緑化システムです。
このため、現場で生じやすい障害物・段差・曲線・曲面などに対して、施工時に“形を合わせる”対応が可能です。
1. 袋を折り曲げることで、現場に合わせた対応が容易
袋方式は、袋自体を折り曲げたり、角度を変えたりすることで、設置形状を現場に合わせて調整できます。たとえば、角部や欠き取りが必要な箇所では、袋を三角形状に変形させるなど、現場形状に合わせた納まりを取りやすいのが特徴です。また、変形しても植栽基盤(土壌)は袋内に保持されるため、現場調整を行っても土がこぼれにくく、施工中・施工後の流出リスクを抑えられます。



2. 段差や曲線、曲面にも対応可能な緑化システム
屋上や外構には、段差、曲線、曲面、立上り際の凹凸など、完全に平坦ではない条件が多く存在します。袋方式は柔軟体であるため、こうした不整形条件にも追従しやすく、階段状の段差部などにも設置対応が可能です。障害物がある場合でも、現場側の条件を大きく変更せずに、袋側を調整することで納められる点は、現場適応性の高い特徴です。



トレー式との違い(現場調整という観点)
トレー式(剛体ユニット)は形状が固定されているため、障害物や不整形部分に合わせて“その場で切る”と、トレー内の土壌が保持されず流出しやすくなります。そのため、現場側の納まりを優先して自由に加工することが難しく、調整が必要な場合は別部材や別納まりが前提となりやすい傾向があります。
袋方式は「袋が土壌を拘束する構造」を前提としているため、現場調整を行っても植栽基盤が保持されやすく、柔軟な納まりを取りやすい点が異なります。
補足(必要に応じて)
現場条件により、端部の納まりや寸法最適化のために、特注対応を行うことも可能です。
(※ 特注対応の可否・範囲は条件により異なります。)
省メンテナンスの定義と、袋方式におけるメンテナンスの考え方
常緑キリンソウ袋本方式における「省メンテナンス」とは、メンテナンスが不要であることを意味するものではありません。
常緑キリンソウ袋方式は、屋上緑化においてメンテナンスが発生することを前提に、構造によって日常的な管理負担を抑えるという考え方で設計されています。そのうえで、基盤を不織布で覆い、土壌の露出を抑える構成とすることで、一般的な土壌露出型の屋上緑化と比べ、雑草の定着や土壌流出が起こりにくい状態を構造的につくっています。

ただし、豪雨や台風後には、飛散物の堆積など、想定外の事象が発生する可能性があります。ドレイン周辺の詰まり等についても、あらかじめ確認が必要となる場合があります。
また、常緑キリンソウ袋方式は、基盤を恒久的に固定する構成ではありません。防水改修や用途変更、部分的な不具合が生じた場合でも、緑化層の一部を更新・撤去・再設置することを想定した構成としています。
常緑キリンソウ袋方式 年間管理マニュアル(補足資料)
本資料は、常緑キリンソウ袋方式を長期的に安定して利用するための、年間管理の目安と確認ポイントを整理した補足資料です。本方式はローメンテナンス型の屋上緑化ですが、植物である以上、完全な「メンテナンスフリー」ではありません。季節ごとの生育変化、除草やドレイン清掃の考え方、施肥の時期や注意点などを、実際の管理現場を前提に整理しています。維持管理イメージを確認する際の参考資料としてご覧ください。
(2)屋上緑化システム(在来工法)と常緑キリンソウ袋方式の比較
※ 本実験は、極端条件下での挙動を設計段階の判断補助として比較観察するためのものであり、
性能・安全性を証明するものではありません。
■ 実験動画の評価範囲と位置づけ(Scope and Limitations)
本ページに掲載している各実験動画は、豪雨・強風・雑草侵入といった屋上緑化において失敗が生じやすい条件下での挙動を、方式ごとの違いとして比較・観察することを目的とした記録映像です。これらの実験は、土壌の保持状態、表層の安定性、構造的な挙動といった定性的な挙動の違いを可視化することを主な目的としており、性能値・安全余裕・耐久年数等を数値的に保証または証明するものではありません。
また、本動画は、すべての屋上条件や気象条件を網羅するものではなく、実際の屋上環境においては、建物形状、排水計画、周辺環境、降雨強度、風況、施工条件、管理状況等により挙動が異なる可能性があります。
そのため、これらの実験動画は、特定の性能や安全性を断定するための資料ではなく、設計段階において整理すべき論点や判断前提を可視化するための補足資料として位置づけています。
Scope and Limitations of the Experimental Videos
The experimental videos presented on this page are comparative observation records
intended to visualize how different rooftop greening systems behave under failure-prone conditions,
such as heavy rainfall, strong winds, and weed intrusion.
The scope of these experiments is limited to qualitative observation of structural behavior,
including soil retention, surface stability, and system response under controlled or simplified conditions.
These videos are not intended to certify performance, safety margins, or long-term durability,
nor do they represent all possible rooftop configurations, rainfall intensities, wind conditions, or site-specific variables.
Actual rooftop behavior may vary depending on building geometry, drainage design, local climate, installation conditions, and maintenance practices.
Accordingly, these experimental records are positioned as supplementary materials
to support design-stage consideration and to help clarify decision-making premises,
rather than as definitive proof or performance guarantees.

下記3項目で在来工法と常緑キリンソウ袋方式で比較してみましょう。
①雑草侵入の比較 ②土壌流出の比較 ③風洞実験比較(風への抵抗性)
■ 数値・保証に関する考え方
本サイトでは、最大風速や荷重値といった数値による性能保証を目的としていません。これは、屋上環境における実際の挙動が、建物形状や周辺環境、施工条件等により大きく左右されるためです。そのため本方式では、数値保証ではなく、極端条件下で起こり得る挙動を設計段階で整理することを重視しています。
■ 実験動画の評価範囲
本サイトに掲載している各実験動画は、特定条件下での挙動を観察するための比較実験の記録映像です。これらの実験結果は、実際の屋上条件すべてを再現するものではなく、設計時に検討すべき論点を可視化するための補足資料として位置づけています。
①雑草侵入の比較

在来工法は、表面に土が出ていますので雑草が侵入します。常緑キリンソウ袋方式は防草シートの袋で出来ていますので雑草が侵入しません。在来工法で、丈夫な常緑キリンソウを使用しても雑草の侵入は防げません。
雑草侵入比較実験動画|屋上緑化における雑草問題をどう考えるか(定点観測)
②土壌流出の比較

在来工法は、表面に土が出ていますので豪雨・強風で土壌の流出のおそれがあります。

常緑キリンソウ袋方式は袋の中に土が入っています。豪雨・強風による土壌の流出から守られています。雨にも負けず、風にも負けず、雪にも夏の暑さにも負けぬ丈夫な体(常緑キリンソウ+袋)で立派に育ちます。
豪雨時 土壌流出実験動画|屋上緑化の豪雨リスクを考える
強風時 土壌飛散比較実験動画|屋上緑化の飛散リスクを考える
風洞実験比較動画|屋上緑化における風への抵抗性・挙動を考える
風洞実験の概要
袋方式2個と袋方式を入れたトレー2個の計4個での風洞実験動画です。風の出口の正面の風速を0m/sから徐々に上げていきます。自然界は、風が弱くなったり強くなったりしますが、実験では常に一定の風が吹きますので、自然環境よりかなり厳しい条件です。トレー式は、一気に飛んでしまいます。板状で硬い素材の物は、風の影響を受けやすく、 少しでも浮上ると一気に飛んでしまいます。台風や突風で瓦や看板が飛ばされるのも同じ理屈です。実験は強風による土壌の飛散は考慮していません。土壌飛散がある場合には、トレーの重量が軽くなりますので、より飛びやすくなります。一方、袋方式は、柔らかく変形が可能です。また、風をわずかに通しますので、浮力が発生しにくく飛びにくい構造となっています。災害時にブルーシートが飛ばないように土のうを利用しますが、理にかなった構造となっています。緑化工事作業中においては、袋方式が材料の飛散防止の役目をはたしています。

屋上緑化システム(在来工法)と常緑キリンソウ袋方式の比較結果はどうでしょう?

昨今の異常気象による高温、大雨、強風などで「在来型の薄層型」の緑化において様々な問題が発生しています。常緑キリンソウ袋方式は、雑草対策、土壌流出対策、風への抵抗性が高くて安心ですね。これからの屋上緑化には最適なシステムです。
実験動画群の位置づけ(まとめ)
― 失敗しにくい理由:極端条件下での挙動を、設計段階で整理していること ―
本ページに掲載している各実験動画は、豪雨・強風・雑草侵入といった、屋上緑化において失敗が起こりやすい条件下での挙動を、比較の形で観察することを目的とした記録映像です。
屋上緑化の失敗は、施工後の管理や植物の個体差によって起こる以前に、設計段階で想定されていない挙動が、極端条件下で顕在化することによって発生します。
これらの動画は、特定の性能や安全性を証明するものではありません。実際の屋上環境では、建物形状、排水計画、周辺条件、気象条件等により、挙動が異なる可能性があります。
本方式では、こうした条件差を前提としたうえで、設計段階において整理すべき論点を可視化するための補足資料として、これらの実験記録を位置づけています。
各実験の目的や評価範囲については、それぞれの動画説明文をご参照ください。
3.風の強さとは(参考資料)

(出典:気象庁「雨と風の階級表」を参考に作成)
日本国内において単に「風速」という場合、地上気象観測では、地上10メートルの高さにおける10分間の平均風速を表し、0.25秒ごとに更新される3秒(12サンプル)平均を瞬間風速といいます。風速の単位は、m/sです。国際的にはノット (kt) が用いられます。気象庁によれば、台風は風速17.0 m/s以上をいいます。
例えば、最大瞬間風速30m/sと平均30m/sは同じ値ですが、平均30m/sのほうが一時的な風の強さが大きく、影響も大きくなります。TVの放送で「最大瞬間風速が30m/s」という場合は瞬間の数字です。平均風速は15m/sや20m/sといったもっと少ない数字です。経験的に、最大瞬間風速は平均風速の1.5倍~2倍は吹くといわれています。
■ 強風体験映像(動画)の位置づけについて(参考資料)
風速30m/s(時速約108km/h)は、気象用語では「猛烈な風」に分類される最上級レベルの強さであり、屋根材の飛散や大型車両の横転が生じ得る極端な条件です。本映像は、屋上緑化において日常的に想定する風条件を示すものではなく、強風時に人や構造物が受ける影響の大きさを直感的に共有するための参考映像として位置づけています。
※実際の設計においては、建物形状、設置高さ、周辺環境、風向・突風の有無などを踏まえ、想定すべき風条件を個別に整理する必要があります。
4.屋上緑化カバー工法とは
屋上緑化カバー工法とは、失敗した屋上緑化(既存)の上に新しい屋上緑化システム(常緑キリンソウ袋方式)を被せる工事の方法で屋上緑化を簡単に補修することが出来る工法です。
昨今の異常気象が原因で緑化新設後2,3年という短い期間で屋上緑化が失敗するケースが増加し、雑草問題、土壌飛散で近隣の洗濯物を汚す問題、緑化維持の法的義務など色々な問題を引き起こしています。これまでの屋上緑化の補修工事では、積載荷重の問題、屋上緑化システムが風で飛ばされないように建物に強固に固定する必要がありましたので、屋上緑化のカバー工法は存在しませんでした。「土壌流防」「雑草対策」「置くだけの簡単緑化」を実現したのが常緑キリンソウ袋方式です。袋方式(特許第4911418号+登録商標第6125712号)+品種登録(品種登録番号第15866号)のトリプル知財製品が屋上緑化カバー工法を可能としました。
屋上緑化カバー工法(既存緑化の改修方法・改修事例)

既存緑化部分を残した状態での簡単改修
1.雑草を取り除く 2.防草シート敷設 3.常緑キリンソウ袋方式設置
既存緑化を改修する際には、既存の屋上緑化を撤去するのか、残したまま改修するのかが、計画上の大きな判断ポイントとなります。
本工法は、既存緑化を撤去せずに改修することを無条件に前提とした工法ではありません。あくまで、既存緑化の状態や積載荷重等の条件を整理したうえで、既存緑化を残したまま改修できる場合の一つの選択肢として位置づけています。
既存緑化分を含めた積載荷重に問題がない場合には、既存緑化上の雑草等を整理し、防草シートを敷設したうえで、常緑キリンソウ袋方式を重ねて設置することで、「屋上緑化カバー工法」として、比較的工程を増やさずに改修を行うことが可能です。
一方で、既存緑化の状態、屋上構造、防水層の仕様等によっては、撤去・再施工が必要となる場合もあるため、本工法の適用可否は、設計段階での条件整理を前提としています。
本工法は、既存緑化の有無にかかわらずすべての条件下で成立する万能な改修方法として用いるものではなく、設計段階で前提条件を整理することで、施工や更新の手間を過度に増やさず、緑化に関わる人の裾野を広げやすくするための、前提条件付きの整理概念として位置づけています。
更新・撤去・再設置が必要となるかどうかは、被覆率の低下や雑草の侵入、防水改修の有無などを基準に判断すべき事項となります。本方式では、こうした判断を設計段階で整理することを前提としており、状況に応じて部分更新対応を想定しています。
なお、本工法は、施工結果や成立性を保証するものではありません。
■ 維持管理・更新リスクの評価軸(維持管理・更新リスクの考え方)
屋上緑化における維持管理・更新リスクは、「どれだけ長く管理を続けられるか」ではなく、管理が困難になった場合や、防水改修・用途変更が必要になった場合に、容易に撤去・原状回復が可能かどうかという観点で評価する必要があります。
その際には、以下の点を判断材料として整理します。
・工具や重機を必要としない撤去が可能か
・防水層を傷めずに更新・復旧できる構造か
・一時撤去後、再設置が現実的か
■ 本サイトにおける判断前提条件(整理)
本サイトでは、屋上緑化の可否や製品選定を検討する際に、以下の前提条件を共有したうえで、情報整理・判断補助を行っています。
【判断前提条件】
・散水設備や常時管理を前提としない
・長期保証・数値証明によって成立性を説明しない
・気象条件(豪雨・強風)を例外ではなく前提として扱う
・維持管理の低下や停止も想定に含める
・将来的な撤去・更新・防水改修の可能性を否定しない
常緑キリンソウ袋方式 ― 構造的に失敗しにくい理由(技術的整理)▶
常緑キリンソウ袋方式は、初期の見た目や短期的な生育状態ではなく、日本の屋上という過酷な環境条件のもとで、数年後も緑化が成立しやすい構造を前提として設計されています。
屋上緑化で発生しやすい失敗要因に対し、保証年数や定期点検といった運用条件に依存せず、方式そのものの構造に基づいて、失敗しにくい理由を整理しています。
初期の見た目や保証条件ではなく、施工・環境・管理・経年変化を含めた構造的成立性の観点から、「なぜ失敗しにくいのか」を技術的に整理した参考資料です。
カタログ請求・ご質問等ございましたらお気軽にお問い合わせください。



5.豆地知識 ちょっと一息つきませんか?



キリン草のキリンって何のキリン? 動物? ビール?
キリンというとアフリカのサバンナで見られる首の長い動物を想像し、セイタカアワダチソウと勘違いされる方もいらっしゃいます。関西地方の一部では、キリンソウ=セイタカアワダチソウと呼んでいる地域もあり、混乱のもとになる事があります。キリンソウ、アキノキリンソウ、セイタカアワダチソウ、ブタクサは、黄色い花をつけますが、それぞれ全く種類の異なる植物で性質も大きく異なります。


麒麟草の名の由来は、中国の古書に出てくる、想像上の動物、麒麟(きりん)に由来します。麒麟(きりん、中国語でチーリン:qílín)は龍、鳳凰、亀と並ぶ古代中国の四瑞の一つに数えられる伝説上の動物です。実は雌雄があって雄は麒、雌は麟と性別で呼び分けられています(諸説あり)。いかつい顔をしていますが、非常に穏やかで慈悲深い性格をしており、虫の一匹も踏まないように歩き、枯れ草しか口にしないと言われています。鳥取県東部(因幡)と兵庫県北但西部(但馬)には、この麒麟に扮して舞う「麒麟獅子舞」という幻想的な伝統芸能が伝わっています。麒麟獅子舞は、人々に幸福をもたらす芸能として因幡・但馬の地域に愛されており、約150の村々に受け継がれ、春と秋に行われる神社での例祭を中心に、ほぼ1年を通じて舞われています。


キリンソウ(麒麟草)は、ベンケイソウ科キリンソウ属の多年草(在来種)です。シベリア東部・中国・朝鮮半島と日本の北海道・本州・四国・九州の山地の日当たりのよい岩場などに分布します。背丈は5〜30 cm程度で。5〜8月黄色い花を付けます。アキノキリンソウ(秋の麒麟草)は、「ベンケイソウ科のキリンソウ」の花の姿に似ているとして名付けたと言われています。本家本元のキリンソウです。 常緑キリンソウは、品種改良の結果非常に花が咲きにくい性質に変わっています。常緑キリンソウは、光の影響を受け夜間でも照明が点いているような場所では、花が咲きやすくなります。


アキノキリンソウ(秋の麒麟草)は、キク科アキノキリンソウ属の多年草です。海岸近くから亜高山帯までの、主に日当たりのよい草原に見られます。高さは70、80cm程度となり、8〜11月に総状の黄色い花を多数つけます。葉は互生し、茎の下部では先端がとがる楕円形、上部では披針形になっています。秋の麒麟草と ベンケイソウ科のキリンソウの花を見比べてみると似ていますね。


セイタカアワダチソウ(背高泡立草)は、キク科アキノキリンソウ属の多年草です。北アメリカ原産で、日本では切り花用の観賞植物として導入された帰化植物(外来種)です。開花時期は9〜11月頃です。河原や空き地などに群生し、高さは1〜2.5m、肥えた土地では3.5〜4.5m程度にもなります。セイタカアワダチソウは、根から他の植物の成長を阻害するために毒「cis-DME」という化学物質を放出します。これが他の植物の成長を阻害し、セイタカアワダチソウの勢力圏を拡大する一因となっています。しかし、大繁殖の後はやがてその土地の栄養分が枯渇して、自分の毒でやがて滅びる運命です。この作用をアレロパシー効果といいます。ブタクサとセイタカアワダチソウを見分けるのには「葉」を見るのが一番確実です。セイタカアワダチソウの葉の形は、笹の葉のようなスッとした細長い流線型で、全く切れ目がはいっていません。セイタカアワダチソウは花粉を虫に運んでもらう虫媒花のため花粉症はおこしません。また、葉には浄血作用があり、アトピー性皮膚炎に効果があることから、入浴剤やオイルなどに利用されています。


ブタクサ(豚草)は、キク科ブタクサ属の一年草です。南アメリカ、ヨーロッパ、アジア、オーストラリアの広い範囲に外来種として移入分布しています。日本では、明治初期に渡来した帰化植物として全国の道端や河原などに分布します。雌雄同株で高さは30〜120cmで開花時期は7〜9月頃です。ブタクサの葉は、ギザギザで、よもぎの葉のような形です。セイタカアワダチソウの葉の形は、笹の葉のようなスッとした細長い流線型です。ブタクサは風で花粉が飛ぶ風媒花で、花粉症の原因として知られています。日本ではスギ、ヒノキに次いで多い花粉症。特に早朝の風の強い時間帯は集中して飛散するため、散歩やジョギングは注意が必要です。鼻、目の症状のほか、喘息の原因にもなります。

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